つい最近、性感染症の専門書を読んでいると、またしてもこのフレーズを目にしました。

『クラミジア感染は若い女性への低年齢化が進んでいる。』

こんな記述です。

これって・・・ホントでしょうか?

 

◇クラミジアの低年齢化問題

当サイトでは過去にこんな記事を掲載してきました。

『クラミジア感染低年齢化』

『「若い女性にクラミジアが増えている」これってホント?』

これらの記事で私があなたにお伝えしたかったのは、

●確かにクラミジア感染者は若い女性、10代後半にも多く見られる。

●しかし、「近年低年齢化が進んでいる」と言う指摘はデータからは見えない。

この2点です。

つまり、近年とかの話じゃなくて、もう何年も前から女性の低年齢層にクラミジア感染者は多くいて、それが現在も続いていると言う話なのです。

その根拠として、厚生労働省が公開している性感染症報告数をグラフ化して説明してきました。

 

◇再検証

今回は前回より新しいデータ、新しい切り口で再度検証してみたいと思います。

前回検証記事との違いは次の2点です。

1.前回は平成27年までのデータであったが、今回は平成28年までのデータで検証する。

2.クラミジア感染者全体に占める、0歳から19歳までの感染者の比率で検証する。

ではさっそく次のグラフを見て下さい。

平成14年(2002年)から平成28年(2016年)までの15年間に、0歳から19歳までの年齢層がクラミジア感染者全体にどのくらいの割合で存在するかを示すものです。

本当に若い女性のクラミジア感染者の低年齢化が進んでいるのでしょうか?

クラミジア低年齢層

いかがでしょうか。

これは厚生労働省の性感染症報告数(定点報告)からデータをグラフ化したものです。

年齢は0歳から19歳としていますが、実際にはほぼ15歳から19歳のデーだと思って下さい。

14歳以下はこの15年間ずっと0.2%から0.3%しか分布していません。

言わば14歳以下では全く増加傾向にありません。

では、再び先ほどのグラフを見て下さい。

これは15歳から19歳の女性の感染者の占める割合です。

平成14年から平成19年まではずっと減少し、平成20年から平成25年までは増加に転じています。

そして平成26年から再び減少傾向にあります。

このグラフを見ると、少なくとも現時点において、

「クラミジア感染は若い女性の間で低年齢化が進行している。」

とは言えないと思います。

 

◇常に出て来る「低年齢化」

私は色んな性感染症サイトを運営しているので、性感染症の本をよく読みます。

すると、冒頭にも書いた、このフレーズがよく登場します。

『性感染症は性交渉の低年齢化によって感染者も低年齢化している。』

そして、HIVも、梅毒もクラミジアも、それぞれ感染者が低年齢化していると言う説が出てきます。

しかし、そうした解説に裏付けとなるデータを示してあるのを見たことがありません。

厚生労働省の性感染症報告数も定点報告であり、全数報告ではありません。

その意味でクラミジア感染者の正確な件数は分かりません。

しかし、この厚生労働省のデータ以上に全国規模でかつ正確なものは存在しないはずです。

ならば、いったい何をもって「低年齢化」が進行していると言われるのでしょうか。

毎回私はそれが不思議で仕方ありません。

例えば、ある性感染症の専門医が、

「私の病院に来る患者をみているとどうも低年齢化が進んでいるようだ。」

みたいな体験に基づく説明はそれなりに納得出来ます。

それが全国規模ではないにしろ、そういった傾向の病院もあるのだ、そんな感想を持つ医師もいるのだと理解出来ます。

ただ、だからと言ってそれが日本中で起こっている事象とイコールだとは言えないはずです。

今のところ、

「日本では若い女性、それも低年齢層にどんどんクラミジア感染が広がっている。」

みたいな話はしっかりした根拠のない話のようです。

むろん、クラミジア感染予防に注力する重要性は言うまでもありません。

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